心原性脳塞栓症との相当因果関係について
心臓で作られた血の塊が脳の血管を詰まらせてしまい、脳梗塞を発症する病気を心原性脳塞栓症といいます。
この心原性脳塞栓症症の原因として、平成27年(厚)252号裁決から、以下の疾病について発生頻度が高いとされています。
① 弁膜症を伴わない心房細動
② 洞不全症状群
③ リウマチ性心弁膜疾患
④ 急性心筋梗塞
⑤ 心室瘤
⑥ 拡張型心筋症
⑦ 人工弁置換術後(特に機械弁)
⑧ 僧帽弁逸脱症
⑨ 卵円孔開存などのシャント性心疾患
⑩ 感染性心内膜炎
⑪ 非細菌性血栓性心内膜炎
⑫ 左房粘液腫
⑬ 僧帽弁輪石灰化、石灰化を伴う大動脈弁狭窄
⑭ 心房中隔瘤
平成27年の裁決事例による請求人は、慢性心房細動及び僧帽弁・大動脈弁逆流症でしたが、慢性心房細動及び僧帽弁・大動脈弁逆流症は、心原性脳塞栓症のリスク(危険因子)の1つではあるが心原性脳塞栓症が相当因果関係を有する同一関連傷病と認めることはできない、とされました。
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/shinsa/syakai/dl/05-h28_29/07_05.pdf
ちなみに、第56回(令和2年)理学療法士国家試験第88問に「心原性脳塞栓症の原因として誤っているのはどれか」という問いに対して、選択肢として、卵円孔開存、拡張型心筋症、三尖弁狭窄症、慢性心房細動、感染性心内膜炎があり、正解は三尖弁狭窄症でした。
つまりは、この設問上、慢性心房細胞は心原性脳塞栓症の原因とされています。
ただ、この平成27年の裁決では障害年金請求上、相当因果関係にはあてはまらないとされたようです。