認定基準の検査数値に異常はなかったものの3級となった例
請求人は間質性肺炎により、もともと障害厚生年金2級を受給していたが、更新時に等級に該当しないとされ、支給停止となった。
現況診断書には、
・両側肺移植を受け、術後免疫抑制剤・抗感染薬を使用し経過観察中
・胸郭が小さく動きが悪いため、食後や労作時に動機や息切れを起こし日常生活を続けることは困難
・自覚症状は、胸痛・体動時呼吸難が「有」
・他覚所見は栄養状態が「中」、胸部X線所見が胸膜癒着、胸膜変形が「軽」
検査数値は
・予測肺活量1秒率が「70.1」、(40以下が軽度異常)
・動脈酸素分圧が「70.9 Torr」(70以下が軽度異常)
活動能力(呼吸不全)の程度については、
・人並みの速さで歩くと息苦しさを感じるが、ゆっくりなら歩ける「ⅱウ」
一般状態区分は
・歩行や身の回りのことはできるが、時に少し介助を必要とし、軽労働はできないが日中の50%以上は起居しているもの「ウ」
医師の回答書は、
・肺移植後に頻脈性不整脈があり、その加療中であるため、一般状態区分を「ウ」とした。
・頻脈性不整脈・高血圧・心不全・貧血は、間質性肺炎及び両側肺移植を主な原因とする、と診断している。
これに対して
◎検査数値に異常値は認められず、外来通院は可能だが、
◎肺移植後の心不全や頻脈性不整脈が、間質性肺炎に起因するものである
◎免疫抑制中であるために外出や食生活に制限がある
◎胸郭が小さく、動きが悪い状態で労作時に息切れが生じている
◎頻脈性不整脈の加療中であり、軽労働もできない
ことを総合的に判断して、3級の「労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度」のものに該当する、とした。
令和5年(厚)861号
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/shinsa/syakai/dl/05-r06/03_06.pdf